社長の想い

小さな仕事を大きな信頼に変える。「近くて便利」な建設会社めざす。

中村建設株式会社 
代表取締役 中村 浩巳 氏

日本刀のような輝きを持つ高梁の建設会社

鉄の芸術品と言われる日本刀。その研ぎ澄まされた輝きは、刀匠が手間ひまを惜しまず鉄を何度も繰り返し鍛錬することによって生まれる。高梁市に本社を構える中村建設株式会社は、50年を超える歴史の中で、技術を磨き、職人魂を伝承することで、日本刀のような輝きを放つ総合建設会社だ。

「創業者の父親・栄(現会長)は、住宅の造作大工でしたが、昭和34年に木造建築請負業として独立しました。その当時はまだトラックが普及していない時代で、大八車を買って建材を運んでいたそうです」と、中村社長。

毎年新入社員研修では、会長自ら創業当時の熱き想いを新入社員に講話する。真面目で熱心な仕事ぶりが評判になり、自ら営業を行う中で次から次へと仕事が舞い込み、会社の器を大きくしていったと言う。高梁市周辺の木造建築が主体だった仕事も、周辺の官公庁から新見、総社、岡山など、口コミと歴史と共に活動エリアが広がり、現在では岡山県全域と近隣各県に及ぶ。

建設業のオールラウンドプレイヤー

同社の強みは総合力。官舎や民間住宅、工場、倉庫、事務所、商業店舗、各種施設などの建築をはじめ、土木や電気、設備工事など、まさに、何でもこなす建設業のオールラウンドプレイヤーだ。

「弊社では、創業以来、小さな工事を大切にしてきました。事業領域の拡大はこうした小さな工事の積み重ねのお陰で、お客様から信頼を頂き、結果的に大きな仕事につながっていったのではないでしょうか」と、中村社長。

「もうひとつは、時代の大きなうねりの中で上手く立ち回ったこと。例えば、住宅の建設ラッシュだった時には建売住宅に注力し、昭和47年高梁市が水害に見舞われた時には土木事業に進出しました。また、建設業が談合問題に揺れた時、官公庁工事の受注スタイルが一般競争入札や公募になったことが、弊社にとっては追い風でした。高梁市や新見市の周辺だけでなく、岡山県下全域の入札に参加できるようになったからです。その時々、やるべきことに着眼し、新しいことに挑戦してきたことが、会社の幹を太く、強くしていったのだと思います」。

セブンイレブンの心強いパートナー

2013年3月1日、コンビニ最大手のセブンイレブンが四国に初出店。香川と徳島で14店舗が同時オープンした。実は、この出店の陰の功労者となったのが同社だ。

「弊社は、18年程前からセブンイレブン様との取引関係があり、毎年20〜30店舗、今までに約450店舗の施工を岡山と兵庫のエリアで請け負ってきました。そんな実績が買われまして、2年前の夏、弊社に四国出店の取りまとめ役としてのオファーがあったのです。3月1日の一斉オープンを皮切りに、毎週10店舗の完成ペースで、合計90店舗の工事を請け負うというもの。迂闊に“やります”という返事をしては大変なことになると思いましたが、信頼と期待に応えたい気持ちの方が強くて引き受けさせていただきました」。

「一番の課題となったのが職人の手配です。その当時、どこの建設会社も多忙で職人を回してもらえる余裕がありません。北海道から職人を呼ぶことで何とか解消できました。でもそれからが大変。1店舗の工事期間は2週間と短く、しかも一斉にオープンさせなければなりません。職人さんの作業をスライドさせた工程スケジュールを組むことで何とか乗り切りました。遅れることもクレームも無くオープン日を迎えられた時は本当に感無量でした」。

スモールベースボールで100億円

同社は昨年、売上高100億円を突破し、岡山県下の建設会社では5本の指に入る規模にまでに成長。その勢いはさらに加速している。と言っても会社の理想像は“近くて便利”な建設会社。お客様にとって身近で頼りになる存在だ。

「100億円という数字は特に意識していませんでした。めざすのはスモールベースボール。大振りしてホームランを狙うのではなくて、まずはバットを短く持ってコツコツと当てていく。その延長線上でホームランを狙っていきたいです」。

「最近、“不将不逆”という言葉と巡りあいました。過ぎ去った事やまだ来ない先の事をあれこれと悩まないという意味です。これは経営にも通じるもの。まずは目の前にあることに誠心誠意を尽くして、少しずつ前に進んでいきたいですね」。

事実、同社では、2千円程のメンテナンスの仕事も断わらないと言う。そんな小さな仕事の積み重ねが信頼となり、大きなビジネスを生み出すタネになっている。