社長の想い

人間性の成長とともに伸びる塗装・防水企業。

吉備建創株式会社 
代表取締役 朽木 隆浩 氏

責任感が信頼を生む

吉備建創株式会社は、外壁や屋根など、住宅の塗り替えを中心に、防水工事やコーキング工事、足場工事、プラント(工場)の改修に伴う塗装などを手掛ける。

代表取締役は、朽木隆浩さん。創業者は、朽木社長のお父さん。「恥ずかしい話、親父とは仕事でよくぶつかっていましてね」と苦笑する。「この仕事に就いたばかりの10代のときは、親父の言うとおりに仕事をしていたのですが、仕事を覚えると自分にも自信が芽生えて、職人気質の親父とはよくケンカをしていました」。そしてある日、「お前はもう自分でやってみろ」と言われて、独立する格好になった。

それからは知り合いの仕事を手伝いに行ったり、紹介をしてもらったりしながら、一件、また一件と実績を積んでいった。「自分でやり始めて、少しだけ親父の言っていたことが分かった気がしました」。しかし、心細くなっても、一人である。どんな現場でも最後までやり遂げた。

「当たり前ですけどね」と言いながらも、途中でイヤになって放り出してしまう職人さんがいない業界ではない。割に合わない仕事でも黙ってやり抜く責任感、根負けしそうになったときに自分と闘う強さ、己の言い分を飲み込んでお客さまに頭を下げる勇気。そういうことを、自分でやって初めて知った。

絶対に妥協しない姿勢

「御社の強みは何ですか?」と問うても、至って謙虚。「技術は普通ですよ。特殊な塗装をする技術は持ちませんが、お客さまが求められる一般的な塗装なら技術的に問題なくできます」。

飾らない率直さに好感を覚える。「凡事徹底ということです。当たり前のことですが、細部までこだわり、絶対に妥協しない姿勢は、自信があります」。さらに「何でも断らずにやるところでしょうか」。

こんなエピソードがある。工場の修繕で、工場の骨組みにあたる「Cチャン」と呼ばれる、いわゆるコの字型の軽量鉄骨を塗装する仕事のとき。地上から見上げて見える部分を塗るだけでなく、脚立やはしごを使って上からのぞき込まないと見えない溝の内側も塗って仕事を終えた。

「当たり前のことですけど」と朽木社長は低姿勢で、その日の仕事を終えるといつもどおり現場から引き上げようとした。しかし、後工程でその鉄骨の溝に電線を這わせる電気屋さんから「吉備建創さんは、見えないところまでちゃんと塗っていますね」と言われ、それが施主に伝わり、喜んでいただけた。

「このくらいですよ、うちの強みって」と言うが、その姿勢が社員に浸透しているところに、同社の組織としての魅力がある。

ESなくしてCSなし

2012年1月に、同社は個人事業から法人へと組織変更を遂げた(創業1972年)。背景には、従業員に対する福利厚生の充実があった。

「社員が結婚して、子どもをもうけて、家を建てたということがありまして、それは社長としては非常にうれしいことですが、同時に責任も感じました。個人事業では手薄だった社会保険をきちんと整備して、社員だけでなく、社員の抱えているご家族に対しても責任を負っていると考えると、法人化は必須でした」。ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし。これは、朽木社長の信念でもある。

独立して、自分はこの仕事で飯を食っていこうと腹をくくったのも、社員を雇用してからだと言う。しかし、ここまで絶えず成長の一途をたどったわけではない。

「人には恵まれている方でしてね」とポツリ。学校時代の先輩や仲間に支えられたり、自ら自己啓発のセミナーに出ていったりして、人間を磨いていった。おのずと、人に接する姿勢が変わり、仕事は好転していった。明らかに自分のなかで乗り越えた何かがあった。現在は、時間の許す限り社員と一緒にセミナーに出席して学ぶ。

当たり前を当たり前に

「偉そうなことは言えませんが、人として成長することがすべてです。当たり前のことですが、ウソをつかない、お客さまのことを第一に考えて動く、困っていることがあれば率先して手をさしのべる。こういうことができる人に社員として来て欲しいですね」。

いまでは、お父さんが同社に手伝いに来ているという。それを聞いて、朽木社長の心根を見た気がした。わが子の会社を手伝えること以上の喜びが、親にあろうかと思う。やりたくても誰もができない親孝行の一つだろう。

人間的成長を願う社長が、率先して人としての心を磨いている。このような企業を客が放っておくはずがないだろう。同社の確かな成長は、人としての正しい道を登ることと重なって見えた。