社長の想い

ニッチを極め、課題を解決するアルミ鋳造加工の会社。

株式会社 山陽アルミ 
代表取締役 青山 圭一 氏

日常生活に必要不可欠な技術

株式会社山陽アルミは、アルミの鋳造加工をメインとした企業。鋳造は、「ちゅうぞう」と読み、加熱して溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まったら型から取り出して金属製品を作る技術のこと。日常生活においてなじみの薄いもののように見えて、実はわたしたちの暮らしは鋳造の恩恵を受けている。例えば、自動車・バイクの部品や農機具、お菓子のパッケージ包装に必要な機械や紡績の機械などにその技術は使われている。

同社は、鋳造のなかでも「グラビティ(アルミ金型鋳造)」を強みとして成長してきた。グラビティとは、試作品などの製作に向いている「砂型鋳造(奈良の大仏は、この製法によるもの)」と大量生産に向いている「ダイキャスト」の中間的な存在。小ロットから中ロットで力を発揮する。品質は、砂型鋳造に比べ、金型による冷却効果が期待できるなど、硬度と精度に優れている。不具合が生じた場合に直接人命に影響を及ぼす部品「重要保安部品」はとりわけ、グラビティによって製造されているものが多い。

創業者の信念が会社を育てた

現在の社会に不可欠なこの技術は、同社の創業者であり、現在の会長、青山光夫氏が20代のころにも重宝されていた。エアツール(工具)やクルマのホイル、そして何より当時ブームを巻き起こしていたボウリングの機械も、グラビティが支えていた。しかし、1つの製品ごとに金型を作る必要がなく、圧力をかけて溶解金属を注入することで大量に製造が可能な「ダイカスト」が主流となる時代がやってきた。

青山会長が当時勤めていた会社も、グラビティからダイカストへと舵を切った。時代は、大量生産・大量消費。金型を起こして小ロットや中ロットを製造することよりも、同じものを千・万単位で次々と生み出すことのできるダイカストが、どれほど時代の要請に応えられる技術だと称えられたかは、想像に難くない。

しかし、青山会長にはこだわりがあった。高校を出て以来、お客さまの「こんなものができないか?」という問いかけに、自分で金型の図面を考え、製造可能な造形を思案し、モノを生み出してきた。その自負にも似たグラビティへの挑戦を決意する。そして、ダイカスト主流の時代に、グラビティで勝負する企業を立ち上げた。「山陽アルミ」の誕生である。勤めていた会社でスクラップにされようとしていた機械を3台譲り受け、操業を開始。1971年のことある。

世界企業から頼りにされる

当時のことを振り返る。「ダイカスト主流の時代に、グラビティの良さを認めてくださるお客さまとだけ仕事をしようと決めたのです」。さらに「お客さまと対等な立場で仕事がしたいと思っていました。

ダイカストは、大量生産できる強みがある一方で、どうしても下請けのような仕事になってしまう。グラビティは、強度や精度がいっそう厳しく求められることもあり、自分が培ってきた技術や経験を存分に発揮してお客さまの相談にのってあげることができると思ったのです」。そして、独立のときに「下請けの仕事だけに甘んじることなく、メーカーと直接仕事をする」という目標を立てた。

その目標は、すでに達成されている。JR岡山駅からクルマで1時間ほどの山間部にありながら、世界に名が知れた大手企業から注文が来る。「会社を興したときは、営業に行っても門前払いですよ」。そう言って笑うが、青山会長の執念とも言える信念が道を切り拓いたのだ。

社員とともに

2013年、世代交代を果たし、青山圭一氏が社長となった。「子どものころから、夏休みなどに工場で手伝いをしていたので、なるべくしてなった職業だと思っています。社長を受け継ぐことも、違和感はありませんでした」と語る口調は控え目で優しいが、職人のこだわりや静かな闘志のようなものを感じる。

工場には、これまでと変わらず、「こんなものを作りたい」とお客さまが相談に来られる。「我々は考えて、最適解を出さないといけません。依頼内容の本質をとらえ、もっとも効率的かつ合理的に製造できる方法をお客さまと一緒になって考えます」。その姿勢が、世界のメーカーから頼りにされている理由だと言える。

工場はさらなる革新をめざす。メーカーの依頼もJIS規格を超える厳しいものとなっていく傾向にあり、同社に求められる仕事はハードルが上がっている。「グラビティはニッチな分野ですが、だからこそ、社員数35名規模の当社に向いていると考え、ますますノウハウを構築していきたいと思います」。

現在、設計から加工の一貫体制に加え、分析や検査の工程を充実させようとしている。ものづくりが海外に流出しているなかで、さらなる品質の向上をめざし、「日本だからこそできる」「山陽アルミだからできる」というものを志向する。「頭脳とスピード勝負ですよ」。めざすは、社員の育つ会社。若い人が働きたいと思える会社。前社長(現会長)のもと、ともに仕事をしてきた「仲間」に対する温かな気持ちこそ、信頼を託せる社長の証である。

株式会社 山陽アルミ