社長の想い

人材も設備も「一流」を目指す基礎杭打設のエキスパート。

高山機工株式会社 
代表取締役 髙山 道也 氏

制約の多い現場で強みを発揮

一般住宅から高層ビルまで、どんな建物もまずここから工事が始まり、そしてすぐに誰の目にも触れなくなるもの・・・それが「基礎杭」。
上に建てた建物が沈んだり傾いたりすることのないよう、何本もの杭を地中深く、堅い地盤に達するまで打ち込む。まさに基礎の基礎を固める、大切な工事だ。

高山機工は、その基礎杭打ちを手掛ける会社。中でも大型建築物に用いられることの多い「鋼管杭」を専門とする。岡山の小さな会社でありながら、施工範囲は中四国から京阪神、九州にまで及び、中でも都市部が多いという。
その理由は、同社のもつ高い独自性と結びついている。

高山機工は、西日本でも数少ない『無振動小口径鋼管杭打設機』をいち早く導入。この機械は、一般的な杭打ち機に比べて小型で、打設時の振動が非常に少ないという特徴をもつ。
「つまり、狭い場所での施工ができるんです。昔はなにもない広い土地にどんどん大型機を入れられましたが、今は周囲に建物が迫る中での工事も多く、騒音や振動、土埃に対してもより配慮が求められるようになりましたから、ニーズはますます高まっています」と、1代でこの会社を育ててきた高山道也社長は説明する。

可能性を信じ、ハードへ投資

創業は1984年。当時はクレーンのリースを主の事業としていた。
当初は順調に成長したが、バブル崩壊で仕事が激減。苦境に陥っていたとき、たまたま地盤関係の会社社長に、杭打ちをやらないかと持ち掛けられた。今あるクレーンを使ってできるということで、高山社長はすぐさま参入を決め、専用の機械を自作。評判がよく、業績は一気に回復した。

やがて手製の機械からメーカー品へと転換することになり、そこで高山社長は、思い切った決断をする。当時、日本に3台しかなかった打設機『DHJ-25』の購入。普及品の倍以上の価格のハイスペック機だったが、「絶対にこれで成功してみせる。自信はある」――。

すぐには結果が出ず、耐えること3年。しかしついに第1号の仕事が来る。メーカーが紹介してくれた、東京での最大手ゼネコンの現場だ。その実績が信用につながり、次また次と依頼が舞い込むようになった。

「読みは当たったと思いましたね。無理をしてトップメーカーの高級機を買ったのは、そのメーカーの営業力に期待したからもあります。私が東京で何枚名刺を配っても誰も相手にしないでしょうが、メーカーが直接売り込んでくれるのなら、費用以上の価値があると思ったんです」。以来、この『DHJ-25』が、当社の看板となった。

労働こそが生きる誇り

「一流の道具と、一流の技術をもって、一流の仕事をする」…それが高山機工の流儀だと社長は言う。
一流の仕事とはなにか。「例えば、設計深度20メートルと指示された現場で、施工してみるともう少し深度を増やしたほうがいいと感じることがあります。そこを指示通りとするか、増設深度とするか。目に見えない部分だけに、仕事の質は人の意識に大きく左右されます」。

だからこそ、人材育成には力を入れる。あいさつ、礼儀、掃除。「3Kといわれる仕事だからこそ、働く人の質を高めて、業界全体の地位を上げていきたい」と、社長は力を込める。

こうした想いのルーツを辿るべく生い立ちを尋ねると、両親との縁が薄く、幼い頃から祖父母に育てられたという。学校が終わると、友人たちが遊びや部活に行くのを横目に急いで帰り、祖父の畳屋を手伝っていたそうだ。
「育ててもらっているのだから、周りに迷惑をかけてはいけない、早く一人前になって、頼りにされる人にならなくてはと、ずっとそう心に念じて生きてきました。多少はつらい思いもしたかもしれませんが、その貴重な経験のおかげで、今の自分があるのだと思います」。
手間をいとわず、誠実に、まじめに働いて生きる。そんな自分に、小さな誇りを感じると高山社長は微笑む。

10年後、次のステージへ

2017年に65歳を迎えた高山社長。創業してから35年、ここまで脇目も振らずに走ってきたが、最近になってはじめて「次」へと想いを向けるようになったという。
「まだまだ、あと10年は社会でやっていきたい気持ちはありますよ。でもやはりこの年齢になりましたから、10年後までに次の土俵を作って、次代を見届けることが私のこれからの夢。今までなんでも自分がやってやるという姿勢で来たけれど、これからは少しずつ、後を任せられる人を育てていきたいですね」。

次の土俵で戦うために必要な新型機についても、もう手はずは整えてある。今後ニーズが増えてくると思われる大型杭に対応した、大口径打設機。これには億単位の投資が必要だが、安定した経営状況を見て、銀行など関係方面すべてから太鼓判を押されているという。「そのことがすごくうれしくてね。自分が今までやってきたことの結果が、ここに表れたと思うんです」。

世代交代を見据えながらも「じっとしていられない性分」と笑い、多忙な仕事の合間に農作業にも精を出す高山社長。きっとこの先もずっと、汗水流し、自分を高め続けていくのだろう。