社長の想い

培われてきた技術と信用をいかし、しなやかに次代を拓く。

興南設計株式会社 
代表取締役 森 郁平 氏

機械設計を主に、デザイン、システムまで

豊かな緑に抱かれた丘の中腹に、美しい円弧を描く1棟の建築物がある。
美術館かカフェかと見まがうようなこの建物は、興南設計株式会社の本社屋。洗練されたフォルムからは、この会社のものづくりに求める質の高さ、感性の鋭さが伺える。

当社の業務内容は、機械やプラント、治具(※)などの設計を主に、各種デザイン、システム構築など幅広い。設計においては、JFEスチール、トヨタ自動車、TOTOなど大手のクライアントも多数。発注を受けて社内で設計するだけでなく、クライアント企業の設計部に社員が常駐して仕事をおこなうケースも多い。当社の社員は派遣先でも優秀な仕事ぶりが評価されており、高いリピート率を誇っている。

また、デザインやシステムの部門を有することにより、設計以外のさまざまなニーズにも対応。最近では例えば、製品の取扱説明書・施工マニュアルの制作業務が好調だという。取扱説明書の制作は専門性が高く、設計開発とビジュアルデザイン両方のプロが揃う興南設計にとっては、まさに価値を発揮できる分野。引き合いが増えており、そこからさらに他の案件の受注にもつながっている。

※治具…機械の組み立てや加工の際、工作物を固定するとともに部品の取付位置、工具の作業位置などをガイドする器具。

流れのままに、気負いなく

この会社を率いるのは、森郁平社長。
7年前に興南設計に入社。祖父が創業し、その後祖母、父へとわたってきた社長の椅子を、この春(2016年)より引き継いだ。「以前から監理的な役割を担っていましたから、社長になったといってもそれほど大きな変化はないですね。これまで通り着実に、お客さまのニーズに応えることに努めています」と、若きリーダーは気負いなく語る。

元々、会社を継ごうという気持ちも、継がなくてはというプレッシャーもなかったという森社長。大学を出てビル計装(空調などの監視制御システム)の会社に就職し、その後、仲間と独立して激務の日々を過ごした。
苦労も多かったが、前職の経験は今でもよい思い出。就職も独立も、家業に入ったことも、すべて流れに身を任せるかのように進んできた道だったが、いつでもそこに自分なりのやりがいを見出し、目の前の仕事に打ち込んできた。「どんな仕事だって、一生懸命やっていればなにがしか得られるものがあると思いますよ」。
あくまで飄々とした口ぶりながら、その言葉は仕事の本質を突いている。

仕事の第一歩は社内親睦から

興南設計では伝統的に、親睦旅行や毎年秋に盛大に行われる「KONAN祭」など、社内イベントが非常に盛ん。
「日頃はみんなあちこちに散らばって仕事をしているけど、こうやって集まる機会があれば、いつの間にかみんな親しくなれるでしょう?」と森社長は笑顔を見せる。

社内サークルも公認・非公認含め多数あり、多くの社員たちが和気あいあいと活動している。社長自身、フットサルにBBQ、沢登りやラフティングなど趣味は多彩。他の社員としょっちゅう誘い合ってオフタイムを楽しんでおり、そのフラットな関係性は、社長となってからもなんら変わらないという。

また、新入社員に対しては、教育・研修はもちろん、なによりもまず社内の人間関係にスムーズに溶け込んでもらえる環境づくりを大事にしている。

新入社員に求める資質についても、社長はこう語る。
「本当にありきたりですけど、明るく元気な人。なぜって、明るい人は会社になじむのが早いですからね。周囲と仲良くできれば、早く仕事を覚えられて、長く続けていける。うちの会社ではコツコツ続けてさえいれば、誰でも一人前のエンジニアになれるんですよ。そうなってもらうことが、会社にとっても一番プラスですから」。

第一に大切なのは、人との調和。スキルはそこからついてくる。
一貫したこの姿勢が、興南設計ならではの企業風土をつくっている。

技術力とコミュニケーション力を強みに

興南設計には、営業マンはいない。
エンジニアみずからお客さまに対応する体制を取っており、例えば飛び込みで新規開拓するといったような営業活動はおこなわれていない。

しかし企業からの設計依頼は引きも切らず、設計以外の仕事の受注も着実に伸ばしている。その方策を問うと、「既存の取引先からのご紹介も多いですし、展示会の会場で気に留まった企業さまに声を掛けたり、逆に声を掛けていただいたりして、自然に新たなおつきあいにつながっています」とサラリ。高い技術力と、人の輪を広げるコミュニケーション能力との両輪が備われば、これほどの武器はないだろう。

これまで培われてきた強みをいかしつつ、さらなる飛躍へのかじ取りが求められる森社長。
目標のひとつとしては、職人気質と形容されるエンジニアの仕事ぶりを会社の価値としながら、各人の経営者感覚も養っていきたいと語る。
「これからも社員とともに、いいところは伸ばし、改善すべき点は改善して、なおいっそう質の高い仕事を提供していきたいですね」。

次代のリーダーはどこまでも自然体を貫き、しなやかに荒波をも越えていく。