社長の想い

トラック・建機の輸出を軸として新興国の発展に貢献し続けたい。

株式会社 山田車輌 
代表取締役 山田 克浩 氏

時代を読み国内外のニッチなニーズに対応

日本を代表するコンビナートの一つである水島臨海工業地帯。その一角に、海外市場を相手に事業を拡大し、今後さらに、新たな展開の可能性を秘めた企業がある。中古トラック・建設機械の買取販売、および車両部品の販売を手掛ける株式会社山田車輌だ。

年間2,000台以上のトラックや建設機械を東南アジアやアフリカなどに輸出。都市化に使われる小型建設機械の輸出には特に力を入れており、インフラ整備の一翼を担っている。国内では中古トラックの買取販売、自社整備工場で作るリビルト部品(中古部品を点検、修理し、新品と同等の性能にしたもの)の販売を手掛け、実績と信頼度は国内トップクラスだ。

山田社長に競合他社より抜きん出ている理由を尋ねると、父親の代から40年続く歴史を振り返りながら、次のような応えが返って来た。
「直接買取で中間コストを抑え、高い買取価格を実現していますが、単に価格面だけでなく、お客様の思いがくみ取れるような営業スタイルを大切にしています。私たちが取り組んでいるのは、誠実に買い取り、海外の本当に必要とされている所に製品を届けるというビジネスモデルです。真面目に続けてきたことが受け入れられているのではないでしょうか」。

価格で勝負しない。お客様のメリットを第一に考慮する。やみくもに電話セールスはしない。そういった堅実な仕事ぶりが口コミで伝わり、一度つながりを持つと、かなりの確率で長いお付き合いが始まる。

自社チャーター船が業績アップの分岐点に

先代の父が1977年に水島臨海工業地帯でタイヤ販売店を創業。ほどなく中古の車両部品を東南アジアに輸出するようになった。電話帳片手に飛び込み営業で取引先を開拓し、信頼関係を築くところから始まって40年来のお客様もいるという。80年代からは中古トラックを扱い、90年代にはアメリカにもエンジン部品を輸出していた。

2000年代に入ってからはリビルト部品の製造をトラック向けに切り替えていった。自社整備工場で部品製造関連の技術を蓄積、継承し、メカニックな不具合にも随時対応できることが山田車輌の強みであり、今日の好調な輸出につながっている。

山田社長は1998年に入社し、仕事のノウハウを学んでいたが、父の急逝により2009年、代表取締役に就任。そこから会社を次のステップへ引き上げるためのハード面、ソフト面の両面での改革が始まった。

ハード面の改革は2014年、水島港から自社チャーター船で輸出を開始したことだ。それまでは海運会社から船枠を買い、神戸、大阪などの主要港から輸出していたが、納期の要望に応えられない事態が多発し、自社チャーター船の保有に踏み切った。

ところがスタート以前に問題は山積。水島の通関や関係各所に打診しても難色を示され、2年がかりで調整していった。何とか道筋は見えたものの、何百台という車両を満載するためには仕事の手法をガラリと変える必要があった。全社挙げて試行錯誤した結果、当初3ヶ月に1回だったチャーターが今では毎月配船するまでになっている。

「船会社との交渉や、それまでより大幅に増やさなければならない契約台数など初めてのことばかりで、社内から、難しい!という声はありました。でも諦めずに頑張ればできるんだということがわかり、社員も会社も成長のきっかけになりましたね」と語る山田社長。自社チャーター船の保有というゼロからの挑戦は、業績アップと同時に社員の士気を高める分岐点になった。

ビジョンを羅針盤に組織力を磨く

ソフト面としては、社員には営業スキル以前に働くことに対する展望を身に付けてもらいたいと考え、組織ビジョンとして「4つの幸せ」を掲げている。ビジネスを通じて社会の幸せ、お客様の幸せ、社員の幸せ、会社の幸せを実現しようというものだ。これは、山田社長が事業を継承した際に「このままの経営でよいのか?会社が存続してきた意味は?」と深く掘り下げて導き出した指針だった。

「ビジョンは企業の羅針盤であり、船と同じでどこに向かって行くのかが大切。やるぞ!となった時にみんなで同じ方向に向かう力が組織力になって現れてくると思うんです。ビジョンを行動指針に落とし込んだクレドを日常業務で確認し合いながら、協力して仕事を進めます。多様性を持った社員たちと同じ目標に向かって行ける会社でありたいですね」。

また社員育成の際に大切にしているのは、社員自らが気づき、考え、選択し、決定するプロセスだ。山田社長が経営について追究する中で出合ったこの理論は、「人間の本質」を捉えており、職場での人間関係の改善や仕事の効率化を図り、社員一人ひとりの技術を高め、精神的な成長を促している。

次に目指すのは課題解決型ビジネス

第二世代の経営者として新しい視点を取り入れてきた山田社長は、これまでのビジネスで学び、感じてきたことを土台として、海外における次のステップに着手し始めている。現在も東南アジアに現地法人を持つが、よりエンドユーザーに近い所でビジネスを展開するため、現地パートナーとの協力体制を整えようとしているのだ。

「今はトラックや建機の販売が私たちの仕事ですが、海外の地域や国が抱える問題を解決し、発展に貢献するなら、販売以外の手法がふさわしい場合もあります。高品質の製品を提供すると同時に、既成概念に縛られず、お客様が困っていることの本質を理解し、考え方や仕組み作りを提案していきたいと思っています」。
新興国のインフラや輸送手段の整備、都市開発をはじめ、今後取り組める仕事は無限と言ってもよいだろう。

2017年6月にはショールームが完成し、販売、リース、レンタル、アフターサービスといった国内事業をさらに強化。そうして築いたノウハウを生かし、世界の人々を幸せにすることが夢だ。山田車輌では、そんな柔軟な発想で新たなビジネスを構築する、次の時代の企業経営が始まっている。