社長の想い

特化された分野で施工技術を極め、有名建築を多数手がける職人集団。

株式会社 Kouji 
代表取締役 寺道 秀和 氏

ビル内の木造内装工事を専門に

岡山市南区の県道沿いの、小さなビルの2階。ここに、日本の超大手ゼネコン各社から信頼を集め、数々の大型建築を手がける会社がある。

「Kouji」との社名のままに、業務は建築工事を専門とするが、その中でも「非木造建築における内装大工工事」という非常にピンポイントな分野に特化する。鉄骨やコンクリート造の建築現場に入り、床、板壁、造作家具、床の間、障子といった木造の内装仕上げをおこなうというのが、具体的な仕事内容だ。

大阪にも支社をもち、施工範囲は中四国から関西一円に及ぶ。仕事はすべてゼネコンからの発注によるもので、地元住民なら誰でも知るような高層ビルや総合病院から、マンション、学校、店舗まで、数多い施工実績をもつ。

安藤忠雄氏設計の直島「ANDO MUSEUM」、SANAAによる岡山大学病院「Jホール」といった、著名な建築家の手による建築物も数多く任されているというから、施工力への信頼度は折り紙付きといえる。

「どこに行っても自分たちの手がけた建物があり、多くの人に注目される有名な建物にもたくさん携わっている。楽しく、誇らしい仕事だと思いますよ」と、会社を率いる寺道秀和社長は微笑む。

材木店から施工業へと業態転換

1955年、現会長を務める岡田貴さんの父・定さんが創業。元々は、家具や建具の材料を扱う材木店であった。しかし1970年代後半、時代の流れで需要の先細りを感じると、いち早く施工業への転換を図った。最初はノウハウもなかったが、力を貸してくれる同業者にも恵まれて徐々に受注を伸ばし、バブル崩壊にも負けず業績を拡大した。

1997年に定さんが急逝。2代目社長に就いた貴さんは「大きな存在だった父が亡くなり、がむしゃらにやるしかないと心が弾けました。父は、岡山で一番大きな材木屋になりたいと言って創業しましたが、自分は、岡山で一番『内容のいい』工事屋になってやろうと誓ったんです」と語る。

9年後、貴さんはその目標を「無借金経営」という形で実現。2009年に会長に退き、社員のひとりだった寺道さんを社長に抜擢した。

寺道社長は語る。「転職でKoujiに入って20数年、一生懸命仕事をしてお給料をもらえて、それだけで充分幸せだった私が、まさか社長になるなんて思ってもいませんでしたよ。それでも、せっかく命じられたのなら、同じように自分が社員を幸せにしようという強い気持ちがわいてきました」。

世代もあまり変わらない、岡田会長と寺道社長。互いに言葉を継ぎながら語るふたりの姿からは、同じ未来を見つめる同志の絆が伝わってくる。

職人あっての我が社

「うちの職人は本当にすごいんですよ」と、寺道社長は目を輝かせて何度も語る。

全体の工期の都合で、ときにはどうしても休日や夜間の工事を強いられる場合もあるが、そんな現場でも職人たちは、惜しみない協力体制をとってくれるという。「しかも、どんな突貫工事でも品質は絶対に落とさない。完成検査のときなどに『Koujiさんじゃなかったらこの仕事はできませんでした』『いい職人さん揃いですね』などと言っていただけるのが本当にうれしくて、ついこうやってあちこちで自慢してしまうんですよ」。そう語る笑顔には、職人に対する感謝と誇りがにじむ。

大工はみな、Koujiだけの仕事をする「専属大工」。社員ではないものの、意識も接し方もまったく社員と同等だそうだ。

「現場でもずっと一緒だし、飲み会や研修もしょっちゅう。こちらは会社の経営状況まで包み隠さず伝えますし、職人たちの本音も全部聞きますよ」と社長は言う。過去、景気が悪くて仕事のないときも、赤字覚悟で職人の仕事だけは切らさないようにしてきたという。

「私たちの責任として、働いてくれる人を不安にさせるわけにはいかないんです。社員も職人も、安心して仕事に集中してもらえる環境を作るのが経営陣の役割ですから。これからは社員としても大工を雇用していく予定です」。

意欲と成果のよい循環

厳しいといわれる建築業界だが、逆風に負けない安定した経営基盤を保つKouji。
「それはやっぱり社員と職人のおかげ。彼らががんばっていい仕事をしてくれるから、元請けの信頼を得られていい仕事をいただけるんです。だから会社としてはそのがんばりを存分に認めて、ちゃんと目に見える形にして還元しなくては」。寺道社長の言葉を受け、岡田会長は「実際、待遇面には自信がありますよ」と胸を張る。

努力し、能力を高める人はどんどん昇給する。認められるから、さらに意欲がわき、利益が上がってまた還元できる。「私が社長だった頃、社員に成果を求めるばかりでなく、まずは社員満足度を高めようと、給与制度を整え、休日数も増やしました。業績が下がるかなとも思ったのですが、社員も期待に応えてくれて。それからずっといい流れができているんです」と目を細める。

大阪支社を拠点とした関西圏の仕事も、順調に拡大。今後は動向を見極めながら、さらなる商圏拡大も視野に入れる。将来の目標は「売上1000億円」。全国で上位1000社に入るレベルの数字だが、岡田会長は「夢をもつなら、誰もが無理と言うぐらいのものでなきゃ」と笑う。しかし、サッと表情を引き締めると「でも、無理ではないと思っていますよ」と続け、寺道社長は「次の世代を担う社員たちが、きっと実現してくれるはずです」と強くうなずきながら語る。大きな夢を掲げ、近づいてはさらに高みを目指す。このDNAは、これからも絶えることなく受け継がれていくだろう。

株式会社 Kouji