社長の想い

感動を提供する店づくりは、手間ひまかけた人づくりから。

株式会社 ThreeArrows 
代表取締役 三宅 信也 氏

人生の経験値を上げる場所

細い路地の奥、隠れ家のように小さな入口を構える完全個室の「居酒屋 かざみどり」。
大通りに面し、仕事帰りにふらりと立ち寄ってくつろげる居酒屋「酒菜屋 古粋」。

どちらも洗練された空間と気取りのないもてなしが心地よく、知っていると一目置かれそうな、確かな良店である。創作和食を中心とした料理は、味はもちろん食の安全にも気を配り、自家農園で手塩にかけて育てた米と野菜を使用。個室中心の席はゆったりと落ち着けるよう心が尽くされており、両店とも連日多くのお客さまを集めている。

新旧の飲食店が入り乱れてしのぎを削る岡山の街で、繁盛店の座を確立するのはたやすいことではない。2店舗を運営する株式会社ThreeArrows(以下「スリーアローズ」)の三宅信也社長は、静かに語る。

「食事だけなら家でもできるところ、お客さまは、わざわざうちの店を選んで、足を運んでくださっているわけですから。そう考えると、やはり瞬間瞬間、精いっぱいのおもてなしをして、料理以上の付加価値を提供したい。うちに来ることでお客さまの人生の経験値がひとつ上がるような、そんな感動のある店づくりをしたいと思っています」。

夢実現へ「急がば回れ」

高校生の頃から、「将来自分のお店をもちたい」と考えていた三宅社長。それも「いつか」ではなく、「30歳までに」。明確な目標に向かうべく、就職先に選んだのはなぜかマスコミ関係の会社だった。

「若いうちから経験を積んで独立するのが普通のパターンでしょうけど、でも僕は、その業界しか知らないというのではダメだと思ったんです。それで、一番広くいろんな世界を見られる仕事はと考えて、選んだのがマスコミの仕事。経営全般の勉強ができますし、それに、自分の開こうとする店は会社員がターゲットになるはずだから、一度は自分も普通の会社員を経験しておこうという考えもありました」。

そののち、満を持して飲食店に修業に入った三宅社長。
「とにかく技術を身につけたかったので、腕のいい料理人がいるお店を耳にしたら勤務時間外でもヘルプとして入れてもらったりして、寝る間も惜しんで働いていました」。2年くらいで店舗を任せてもらえるようになったが、三宅社長は飲食業界の現実に危機感を感じるようになったという。

「僕より技術をもっているベテラン調理人はたくさんいました。しかし、その人たちが辞めていったり、腕のいい料理人のいるお店なのに潰れていったり…。職人技だけでは経営はうまくいかないことを痛烈に感じるようになりました」。経営者としての腕も極めていかなければならない。そう考え、再び広告業界に就職してマーケティングの知識を深めた。

そして、ほぼ目標の通りに31歳で開業。1年半で安定した固定客をつかむ。一見型破りな道のりだが、その裏には、最短で最大の効果を狙った、綿密な逆算があったのだ。

人材には先行投資を惜しまない

現在スリーアローズでは、2店舗に正社員が8名。(2016年11月取材時点)
店長以外は全員アルバイトというケースも多い飲食業界において、異例の体制である。

「いい場所さえ見つかればすぐにでも3号店、4号店を出せるよう、準備しているんですよ。出店が決まってから、誰か優秀なスタッフを採用したいと言ったって、それは無理な話。うちは前もってきちんと投資して、人を育てているんです」。

新人への教育は、徹底したOJT。細やかな指導プログラムに基づき、ドリンクサーブに始まり媒体対応に至るまで、それぞれの担当リーダーがぴったりと張り付いて仕事を教える。クレームゼロを目指すことはもちろん、起こってしまったクレームには、スタッフ全員が誠心誠意で対応。スタッフのミスに対して、店長は叱らないことが原則となっている。

「一番よくないのは、ミスを隠されることですよね。みんなでフォローするムードができあがっているから、ミスを共有して、次にいかせます」。

例えば「予約受付帳」や「清掃チェックリスト」。少しでも問題が出るたびにみんなで意見を出し合い、日々改善し続けているという。

なによりも社員を大切に

三宅社長自身の飲食店での修業時代は、休みもまともに取れず、長時間労働があたりまえの環境だったという。
「飲食業に特に抱かれがちな、そういう労働イメージを変えたい。普通の企業と変わることなく、安心して家族をもち、長く安定して働いてもらえる職場であるべきです」と言葉に力を込める。当社では時間帯こそ夜間に及ぶものの、平均して8時間労働ペースが守られており、シフトの希望にも柔軟に応じる。

創業から7年。一貫して変わらないのは、「人」をなにより大切にする姿勢だ。
「もちろんお客さまは大切ですが、社長としての僕は、社員が一番大事。社員は、後輩やバイトスタッフを大事にしてほしい。自分が社員に真摯な想いを伝えれば、やがて現場のスタッフが、その想いをきっとお客さまに伝えてくれると思うんです」。

順調に事業拡大を進める中、三宅社長の目はさらに遠くを見据える。
「『感動体験の提供』を極めていけば、もしかしたら将来の姿は、飲食店の範囲を超えているかもしれません。今後もいろんな壁にぶつかるだろうけど、それがいいんです。これをさあどう飛び越えてやろうかというときに、たまらない高揚感を感じるんですよね」。

この先もあくなき挑戦心を力に、予想もつかない仕掛けで街の人を楽しませてくれるに違いない。

株式会社 ThreeArrows