社長の想い

目指すのは、より強く、より軽く、手指のごとく動くアタッチメント。

株式会社 タグチ工業 
取締役社長 青木 善裕 氏

建設・解体現場で活躍するアタッチメント

「エッジメイカー」とみずからを称する、タグチ工業。
エッジ=刃、それは未来を切り拓く刃だ。硬い鉄骨を果敢に切断していく自社製品のように、いつも鋭く尖り続け、失敗や摩擦を恐れずチャレンジしていく姿勢を現している。

タグチ工業グループは、建設機械のアタッチメントに特化し、設計・製造から販売、レンタル、メンテナンスまでトータルに手掛ける企業である。
アタッチメントというのは、簡単に言えばパワーショベルのショベルの部分。建設用重機は一般的にアームの先端部分が交換可能で、そこにつけるアタッチメントによって、掘る、切る、つかむといった多様な作業をおこなうことができる。

顧客である建設・解体業者にとって、作業の効率化は最重要事項。「我々の製品を導入することによって、例えば工期1カ月で見積もっていた現場が半月で終わったとしたら、それはもう本当に喜ばれます」と、同社を率いる青木社長は目を細める。「各メーカーがしのぎを削る中で、一歩抜きん出たものを作る。そのためには、誰もやらないことに挑戦しなければ。ここまでやるか、ということをやるのが我が社です」。

エンドユーザーが製品を育てる

設計・製造のみならず、レンタルや修理の部門を自社グループ内に備えることは、タグチ工業にとって非常に大きな意味をもつ。

アタッチメントに欠かせないパーツである油圧ホースの破損を、現場に駆けつけて修理する『ホースマン』。
当初は自社製品のユーザーへのサービスとして始まった事業だが、やがて競合他社品でも関係なく修理に行くようになったそうだ。

「なぜかって、サービスマンはエンドユーザーにもっとも近づけますから。修理する間にオペレーター(重機の操縦者)さんと必ず親しくなれて、情報が聞き出せる。
現場のオペレーターさんは一番正直です。うちの製品だろうと他社製品だろうと関係なく、いいところも悪いところもぜんぶ教えてくれます」と、青木社長。
レンタル部門『バケットランド』もしかり。開発直後の自社製品をすぐに貸し出して現場で使ってもらい、率直な意見や感想を聞くことができる。

お客さまに対応したサービスマン・営業スタッフは、もらった意見をその場ですぐ端末から入力。圧倒的なスピード感をもって、経営陣や設計・製作サイドへとフィードバックできるシステムが確立されている。この仕組みこそが、タグチ工業の財産だといえる。

あきらめないものづくり

製造の現場は、熱による鉄の「ひずみ」との戦い。
鉄の原板から溶断、溶接、研磨と工程ごとに熱が加わり、そのたびにひずみが生じてくるため、普通にやっていたのではまったく寸法の違うものになってしまう。

「大抵は、ある程度のひずみを見越して、部材同士をかみ合わせるところはゆとりをもって作り、後でシムという詰めもので調整するのが普通なんですよ。でもうちは、『シムゼロ』が絶対の決まり。少しでも狂うと組み立てられません。
例えば100円均一のハサミはガタガタして、薄い紙を切ろうとしたら挟まったりするでしょ。でも熟練の職人が作ったハサミはブレがなくて、刃を当てるだけでスーッと切れる。我々はあの巨大なアタッチメントに、職人のハサミの精度を求めているんです」。

製造スタッフは、一か所に熱が集中しないよう溶接の順番を振り分けたり、収縮する寸法を予測して加工したりと、新製品が出るたびすべての工程でひたすらトライ&エラーを繰り返し、ひずみの出ない方法を構築する。「とにかくあきらめずにやり続ける。それがうちのものづくり」と、青木社長はきっぱりと語る。

チャレンジするから進化がある

ものづくりを地道に極める一方、バラエティ番組や大型イベントにも進んで出演しているタグチ工業。2本のアームを巧みに動かして踊る巨大重機型ロボット「スーパーガジラ」はデビュー以来、イベント会場でたくさんの人を楽しませてきた。

また、最近は「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」に同社の研究提案が採択され、タグチの製品が宇宙開発に関わる可能性も出てきたという。

ロボットも宇宙も、今の事業と直接には結びつかない。
「実際、ロボット技術なんか完全に素人ですから、社員たちは本当にもう大変でした。でもそれを乗り越えてしまった我々は、今やロボットも作れる集団へと進化したんです。なんやタグチは突拍子もないことばっかりして、と思うでしょう。でも、その突拍子もないことを全力でやり切るところにしか、イノベーションは起こせないんじゃないでしょうか」。

進化の先に夢見るのは、例えば人の手指のごとく繊細に動くアタッチメント。レスキュー隊とともにいち早く災害現場で活動することができれば、どれだけ多くの人の命が救えるか。
「人の役に立ちたい」との思いを原点に、チャレンジはとどまることなく続いていく。

株式会社 タグチ工業