社長の想い

全社員が幸せを実感できる、鉄鋼・金属加工世界一の企業をめざして。

大松精機株式会社 
代表取締役 松永 光弘 氏

超精密加工メーカーとして

大松精機は超精密加工を得意とする鉄鋼・金属の加工メーカー。特に、高精度を要求される自動車、電子機器、産業機械関連企業からの発注が多くを占めている。

信頼の高さから紹介も多く、新しい取引が拡大しているという。製造業で「信頼」というと、品質、価格、納期の3つが求められる。外国産の安価な素材を仕入れる企業が増えるなか、同社はあくまで国産にこだわる。そして、一貫生産システム、的確な人員配置などによりコスト低減と早い納期の実現でそれに応える。取引先は、県内だけでなく関東から関西、九州まで300社を超える。

はじまりは、レーザー加工サービスという限定されたものだった。しかし、お客さまからのニーズに対応していくうちに業務の領域も拡大。現在では、あらゆる分野の機械部品製造を手掛け、グループ5社の総合技術メーカーとして大きな実績を築いている。

人は幸せになるために生まれてきた

大きな特徴は、素材の調達にはじまり、部品の試作から大量生産まで、一貫して対応できる高い技術にある。依頼された部品を加工するだけでなく、さまざまな製品をゼロから生みだしていくための豊富なノウハウと提案力が、同社の強みである。

だから、松永光弘社長も胸を張って「金属加工に関することなら大松精機にお任せください」と言える。根拠のない自信ではない。その根拠は何かと言えば「人」。これに尽きる。品質も価格も納期も、すべて同社の社員の意識が支える。同社の場合その意識は、幸せ実感力と言い換えることができる。

「難しいことではなくて、人はみんな幸せになるために生まれてきた。それをどのように実現していくかという単純なことだと思う」。

幸せの手応えや実感などが日々の仕事を通して生まれてくる環境を、松永社長はつくっている。具体的にその要素は、経営管理システム、社員食堂、保育所、社員寮などに見ることができる。

幸せのカタチ

「ひとつ製造すれば、自分はいったいいくら売り上げたのかが目に見えてわかるシステムを組んでいます」。同社は、営業スタッフが仕事を受注したときに、すべての製造原価を工程ごとに明らかにする。

「この穴あけをひとつすれば、どれくらいの成果が出るのかというのを、新入社員が見てもわかるようにしています。チーム全体で成果が出れば、賞与として還元します」。チームをまとめるリーダーは、単一工程を担う町工場の経営者と同じ。スタッフも自分の仕事がチームや会社にどのように貢献しているのかがリアルタイムで理解できる。

「自分が役に立っているという手応えは、自分が必要とされているという感覚につながり、その人の価値に返っていきます」。これは、幸せの一つのカタチである。

「腹が減っては仕事はできない」。これも社長の言葉。「昼飯がパンとコーヒーだけでは夕方までもたない。食事くらいしっかりと食べてもらいたい。しっかり食べるとしっかり働ける」。そう願って社員食堂を設けた。一人250円でおかわり自由だそうだ。

企業全体に広がる幸せ感

保育所も併設した。「女性の社会進出がめざましい時代に、何も女性だけが子どもに時間をかけるというものでもない。男性社員でも、子どもをうちに連れてきて保育所に預けることができればいいじゃない」。

単身者は希望すれば寮にも入れる。「ふつうにアパートを借りると敷金・礼金が必要で、それだけで数十万はいるでしょ。布団だって必要なら用意しますよ」。こうやって社員の定着率は年々上がっている。

「なぜ、そこまでするのですか」との質問には「人に与えたことは、自分に返ってくるのだよ」とやさしいまなざしを向ける社長。人に笑顔を差し向けると、笑顔が返ってくる。つまり、社員の幸せは自分の幸せだと言いたいのだろう。

「自分の生きている価値を自分で見出し、自分なりの幸せ感を持ってもらいたい。打ち込むものを見つけられると、人生マルなんじゃないでしょうか。それが仕事でもいいし、仕事以外の趣味であれば、そのために仕事をがんばろうと思える」。

「一生のうちに、どれだけの人を幸せにできただろうかと真剣に考えます。それが人間の価値ではないかと。社員にも幸せ感を日々持ってもらいたいし、そのためにわたしができることは精いっぱいやりたい。経営者としてそれしかできないんじゃないかな」。と気負うことなくさりげなく語る表情は終始笑顔で溢れていた。