社長の想い

防犯レンズの向こう側にある安全安心な未来のために。

株式会社 シールド 
代表取締役 本多 多加志 氏

現代社会になくてはならない「防犯カメラ」

事故、窃盗、暴行、誘拐など、新聞やテレビを通じて毎日のように私たちの耳に飛び込んでくる事件・事故のニュース。その際の警察捜査で、近年大きな活躍を見せているのが防犯カメラだ。ひと昔前はまだ数少なかった防犯カメラも、今では駅や道路、商業施設などの公共施設はもちろんのこと、学校や公園、住宅に至るまで、日常のさまざまな場所で見られるようになった。事件が発生すると警察もまずは近隣の防犯カメラを探すと言われ、事件解決や原因究明の記録資料としてだけでなく、犯罪抑止を目的に設置されるケースも多いという。

岡山市北区にあるここ『シールド』は、そんな防犯カメラの販売・施工を手がける防犯設備会社だ。大手メーカーからの受注に加え、エンドユーザーとの直取引も多く、郵便局から金融機関、スーパー、住宅など、さまざまな法人・個人に対し防犯設備の販売と施工、アフターメンテナンスを行っている。

高まる防犯意識と多様化するニーズに対応

代表の本多多加志さんが『シールド』を設立したのは、1992年、37歳のときだ。同じ防犯設備を扱う企業で営業職を務めていたが、成績は鳴かず飛ばず。技術部へ異動が決まったときは、「自分は会社の“お荷物”なんだ」とひどく落ち込んだそうだ。しかし、根は負けず嫌い。年下の“先輩”にバカにされるのが悔しくて、必死で技術を磨き資格取得にも挑戦。30代半ばで技術部長にまで上り詰めた。しかし本多さんがポジションを確立するその傍らで、会社組織は揺れていた。経営方針に反発する社員が相次ぎ、優秀な人材が次々と退職。その流れの中で本多さんも独立を決意した。

「独立といっても、何の当てもありません。前社の下請けとしてやっていく道もあるにはありましたが、去った男の意地もあってそれはしたくなくて。代わりに、仕事の声がかかれば何でもやりました。真夏の炎天下に線路の配線工事をしたり、真冬の夜中に雪をかき分け防犯設備を設置したり。まったく経験のないクーラーの取り付け工事を引き受けてしまって、自前で3台買って夜な夜な練習したこともありましたね」。

3人目の子どもの誕生を間近に控えた中での独立。家族を守るためにも、仕事を選んでいる場合ではなかった。そしてがむしゃらに働けば働くほど、仕事の依頼は次々と舞い込んだ。はじめは防犯設備とは無縁の仕事も多かったが、知人の警備会社からの依頼を皮切りに防犯関連の仕事も順調に拡大。都心部を中心に防犯カメラが積極的に導入されはじめた時代背景も追い風となり、警備会社やメーカーからばかりでなく、ユーザーからの問合せも徐々に増えていった。

特にここ10年の防犯意識の高まりは著しく、それに伴ってニーズも多様化。「施設利用状況を把握したい」「近隣トラブルの証拠を残したい」など、防犯以外の目的で利用されるケースも増えているという。そんな市場動向を受けて同社では、毎月定額制の防犯カメラレンタルサービスを開始。さらに地元自治体でも、町内会などの住民団体を対象にした防犯カメラ設置補助金制度がスタートし、マーケットのさらなる成長が見込まれている。

社会貢献度の高さがはぐくむ技術者の誇り

防犯意識の向上と低コスト化。そんな好環境に加え、同社の勢いをさらに後押ししているのが施工技術の高さだ。

防犯カメラも、ただ取り付ければいいというものではない。犯罪に対する威嚇力を持ち、いざというときには証拠能力のある映像が確実に残されていてこそ価値がある。そのため同社は専門防犯診断士を配置。施工前に現地分析を行い、実機取り付けの前にはデモ機で実際の稼働状況を確認する。さらに配線は可能な限り天井や壁裏に収納するなど、美観への配慮も欠かさない。

「防犯や管理が最大の目的とはいえ、技術者たちにはプライドがあります。『付ければいい』『映ればいい』という発想はありません。社会貢献性の高さが、社員たちのプロ意識にもつながっているのでしょう」。

企業と技術者の成長の先に実現するものとは

そんな同社が目指すのは「世の中の役に立つ企業であり続けること」。そしてそのためにも、本多さんは「社員たちが今以上に仕事にやりがいと誇りを持てる企業に育て上げなければならない」と熱を込める。

「カメラを作るのはメーカー、犯人を特定し事件を解決するのは警察。設置した防犯カメラが仮に事件究明や犯人逮捕に貢献しても、私たちの功績がたたえられるわけではありません。けれど事件・事故などトラブルの発生から解決までの過程には、あるいは事件も事故もない平穏な日常の背景にも、確実に当社の技術者たちの技術とノウハウが活かされている。そのことに誇りを持ち、さらなる使命感をもって成長し続ければ、私たちの仕事は未来の安心安全な社会づくりに貢献することができるんです」。

その熱く、あたたかなまなざしの先には、“防犯”という言葉とはむしろ無縁の、平和で幸福な社会に生きる私たちの未来が映し出されているように見えた。